USELESS

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USELESS

ある男が太陽を見てるとマリオのように吸い込まれてって、光の地平に降り立った。見回してみると少女が泣いている。どうしたの?と声をかけると、そのランドセル背負った子が言うには、あのね、お母さんがね、私のこと、良い子だって言うの。私はそれが悲しいの。男は何も言えずに、ややあって、じゃあ、君は悪い子なのか?と聞くと、その少女は顔をあげ、どこか宗教的な微笑みを浮かべて立ち去っていった。もう少し歩いていると、今度はベッドの上に横たわった若い裸の女がいて、パルプ・フィクションのポスターみたいな姿勢で、頬杖をつきながら男を見ている。ねえ、私のこと、美しいと思う?と聞くので、たしかにあなたはきれいだし、美しい、と男が答えると、あんたは救いようのないバカね、くだらないこと言わずに今ここで抱いてちょうだい。と言う。なので2人は抱きあった。果てたあとに、彼女は身ごもった。彼女は光の中に溶けていった。男がさらに歩くと、今度は裸の老婆が切り株に座っていた。その身体はどこも肉が垂れ落ちて皺だらけで、加齢臭が男の鼻をついた。老婆は彼をじっと見つめて、どうだい、醜いだろう?と問う。いつの間にか男は現実に戻っていて、忙しく仕事に勤しみ、やがて結婚し、そして家庭に子供を授かった。そうして生まれてきたのが俺たちだってわけ