USELESS

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鍵を持ち歩くってのは、いつかなくすってことだ。そして部屋に戻れなくなる。一時的にしろ。そこでようやく気づくことは、習慣が空間に強く結びついてることで、鍵をなくしたと気づいたときの非日常は、習慣の一時的な破壊だ。君ははやくその暖かくて心休まる習慣の中に戻りたいと思う。習慣が場所を作り出している。場所が習慣を作り出している。心休まる場所とは、心休まる習慣の中に自らを埋没させ、自己の意識から一時的に釈放されることだ。それは休息だ。私たちは生まれたときに既に疲れ切っていて、誰もが休みたいと、休める場所を求めて彷徨う。大人になるということは、ある意味においては、疲れを手懐けるだけの休める場所を見つけるということだ。そこで毎日おなじように活動し、よく休んだなら、またあの想像するだけでも疲れるような自己の砂漠の中へと進んでいく。でも歩くためには休むことも必要だし、休める場所には鍵がある。誰からも脅かされない空間には鍵がある。しかし鍵を持ち歩くことは、鍵を落としてなくしてしまう(!)可能性を孕んでいる。鍵をなくしたと気づく、その瞬間はいつでもやってくることを忘れていた。