USELESS

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USELESS

雨の中の喜びがある。雨の中へかけていって髪とスーツを濡らし出勤する。お前、地球に来て何年目だ?牛乳の中に悲しみがある。私はそれを飲み干す。毎日のむ。そうやってお前は大きくなったんだ。若さだけが見せると思っていた暗さを、今は世界全体が共有しているように見える。それはお前が大きくなった証拠なんだ。あと何千回の夢を見るだろう?大きくなったら何になる?分からない。何が大きくなるのか知りようがない。夢を見るたびに、これは夢の中の夢じゃないかと思い出せ。私が考えている自分を考えている。だが笑う瞬間だけだ、その時あなたは再帰的な虚空から断ち切られる。それは海水の中で溺れながら掴んだ島のようなものだ。島の周りに海は現れる。僕はその無人島で生活を始めてどれだけ経った。ピアノの鍵盤に触れる時に眺めた手のような、その手はずっと遠くにある。手をどれだけ伸ばしても届かないくらいに。仕方がないので俺は手を目指して歩いて行った。懐中電灯を照らしながら前へ前へと進んでいった。すると闇の中から犬が現れた。犬は俺に遅いかかかってきた。そいつの牙が喉に突き刺さるのを感じる。そうして声を失った。だからピアノを弾いているのか、ピアノを弾いているから声を失ったのか、どっちなんだ?フェリーニの8・1/2のラストシーンで広がるイメージが、見せるものは、一つの声の発明なんです。つまり、ヒューマニズムのアプリオリな根源にあるもの、暗く、不明瞭で、何も照らさないもの、その黒い点なんです。というより、その写像だ。みんな実験結果を都合よく改竄して、先生に怒られた授業は忘れられない。でもそんなことより帰りたい。帰って一人になりたい。誰のためでもなく、自分のためでもなく、神さまのためでもなく、ただ存在するためだけに存在する。創造することの快楽には調理方法がある。めんどくさいこと。どうでもいいこと。楽しんでいるうちは誰だってダヴィンチの気分だ。階段を降りていって地下室には看守と囚人がいる。しかし本当は私が囚われている。見ることは独房だ。寿司を握って出す店に行って寿司を食いたい。ネタは、ホタテ、うに、サーモンが良い。それからプラスドライバー。そいつでネジを一つずつ外してやる。全部ハズレ。ネジがまいてあるように見えただけ。でも私は気にしない。服を脱いで。泳ぎ方を教えてやる。まず目を閉じる。